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鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*
Scientific Reports (Internet), 12, p.19701_1 - 19701_10, 2022/11
被引用回数:4 パーセンタイル:41.53(Multidisciplinary Sciences)体心立方(bcc)遷移金属である-FeやWは、{110}面の表面エネルギーが最も低いにもかかわらず、{100}面に沿ってへき開割れが起きる。この奇妙な現象のメカニズムを解明するため、人工ニューラルネットワークの手法で作成した原子間ポテンシャルを用いて-Feの曲線のへき開き裂先端の大規模原子シミュレーションと直線のき裂先端の応力拡大係数解析を実施した。その結果、以下の新しい知見が得られた。{110}に沿ったへき開面のき裂先端から転位放出が観測され、そのことは{100}面が実際に起こるへき開面であることを示唆した。しかしながら、単純な直線状のき裂先端解析では、同じ結論は得られなかった。よって、機械的な強度を正しく予測するためには、高精度なポテンシャルを用いて、材料固有の複雑さを十分に捉えた原子論的なモデリングが必要であることが示唆された。本研究で採用した方法は、bcc遷移金属・合金のへき開問題に一般的に適用可能である。
鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁
AIP Advances (Internet), 10(11), p.115209_1 - 115209_8, 2020/11
被引用回数:9 パーセンタイル:53.43(Nanoscience & Nanotechnology)BCC金属の脆性破壊のメカニズムはまだ明確には理解されているとは言えない。本研究では、鉄のへき開破壊の解析のため一連の3次元分子動力学シミュレーションを行った。特に、湾曲したき裂フロントから始まるモードI変形に焦点を当てた。シミュレーション結果、{100}面でへき開による脆性破壊が観察されたが、他の面では転位の放出によりき裂が鈍化した。この結果は{100}がbcc遷移金属で優先的に観測されるへ開面あるという一般的な実験的観察を再現した。
鈴土 知明; 鬼塚 貴志*; 福元 謙一*
Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 27(6), p.064001_1 - 064001_15, 2019/08
被引用回数:16 パーセンタイル:66.08(Materials Science, Multidisciplinary)低温でのBCC金属の塑性は、らせん転位の移動に支配される。これらの金属結晶におけるらせん転位芯は非平面構造を有するため、その運動は複雑であり、予測不能である。例えば、密度汎関数理論(DFT)は、{面上のすべりを予測するが、高温における実際のすべり面は予測から乖離してれており、そのメカニズムは何十年もの間の謎だった。本研究ではらせん転位運動を追跡する一連の分子動力学シミュレーションを実施し、実験で得られている滑り面の移行再現することに成功した。我々は、次に、Peierls障壁を超えて転位が移動する現象を精査するアルゴリズムを考案し、すべり面移行のメカニズムを発見した。すなわち、転位芯構造の変化がなくても、転位線の大きなゆらぎによって交差すべりのキンクペアが核形成されることを確認した。
田次 邑吉; 岩田 忠夫; 横田 光史; 布施 元正*
Physical Review B, 39(10), p.6381 - 6387, 1989/04
被引用回数:13 パーセンタイル:61.69(Materials Science, Multidisciplinary)一連のBCC金属に対して、照射損傷の計算機シミュレーションを行った。ポテンシャルは、JohnsonとWilsonが弾性定数を用いて導出した2体間ポテンシャル関数を用いた。閾いエネルギー付近の一次入射粒子(PKA)を種々の方向から入射し、生じうる点欠陥のすべての形態を分子動力学的手法で探した。その結果、BCC金属は形成される欠陥の形態により2ケのグループ、(Mo、W、Fe)と(V、Nb、Ta)に分類できる事がわかった。第1グループでは、既知の通り、110スプリット型格子間原子と通常の空孔のみが形成されるが、第2グループでは、100クラウディオン形の他に2種の格子間原子と、通常の空孔の他に最近接原子位置が平衡値の22%も縮小したものが形成される。これらの結果は、各欠陥の移動エネルギーや陽電子消滅法による実験データをよく説明しうる。よって、BCC金属における点欠陥の形態は、弾定定数の特性から大よそ推定できる事がわかった。
布施 元正*; 田次 邑吉; 岩田 忠夫
JAERI-M 87-026, 25 Pages, 1987/02
核融合炉材料の照射損傷は固体内原子衝突により生じるが、この現象に関する理論的研究は大型計算機の発達と共に近年急速な進展を見せている。本報告では、分子動力学コ-ドGRAPEによりBCC金属のTa結晶中でのはじき出し過程を解析した結晶をまとめた。1)Ta結晶中で生成する格子間原子は〔100〕クラウディオン型か、〔111〕方向への変位が数原子にわたり連続して生じる型の2種類に大別できる。Fe,Moで見られる〔110〕ダンベル型は生成しない。これは、ポテンシャル形状により説明できる。2)Ta結晶中でのはじき出しエネルギ-のしきい値分布は実験結果と比較的良い対応を示す。これから、採用したJohnson型のポテンシャルは現実の原子間相互作用を表わすのに適していると言える。
鬼塚 貴志*; 大久保 学*; 福元 謙一*; 鈴土 知明
no journal, ,
原子力プラントではBCC金属が構造材として多く採用されている。これらの炉内構造物の中性子照射脆化の要因のひとつとして、照射欠陥集合体が転位運動に対して障害物として寄与することが挙げられる。そこで分子動力学法(MD法)等の計算科学手法を用いた転位とボイドの動的な相互作用に関する研究が多数行われているが、らせん転位とボイドの相互作用に関しては未解明な部分が多く残されている。本研究では、分子動力学法によりFe中のらせん転位とボイドの動的相互作用メカニズムの解析を行なった。
鈴土 知明; 福元 謙一*
no journal, ,
体心立方(BCC)金属は、構造材料として原子炉の多くのコンポーネントに適用され、その熱的機械的健全性の研究は非常に重要である。低温においてBCC金属の変形の多くはらせん転位の移動によるものである。BCC金属のらせん転位の運動は複雑であることが知られている。本研究では、最新の分子動力学モデリング手法を用いて、実験で観測されている温度上昇によるすべり面の遷移を初めて再現することに成功した。次に、パイエルス障壁を超える転位のジャンプを高解像度で解析するアルゴリズムを考案し、この遷移現象の原因は熱揺らぎである可能性が高いことを示した。
鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*
no journal, ,
BCC金属は構造材料として様々な用途に使われているが、それらは低温領域では脆性的になり、水素等の不純物によって脆性が促進されることが知られている。現象をモデル化して適切に予測することが望まれるが、そのメカニズムは非常に複雑でありモデル化は容易ではない。発表者らはこれまでFeの機械学習ポテンシャルを用いてペニー型へき開のシミュレーションを行い、{110}面では転位の射出によってき裂進展が抑制され、実験的にへき開が観測されない事実と整合する結果が得られている。今回、転位の射出に関してより詳細な解析を行ったので報告する。